創造プロジェクトチームシステム
パンデコンは、昭和38年(1963)、自由な創造の場をつくるべく、建築家・グラフィックデザイナー・映像作家・経営コンサルタントなど、異なる専門領域の夢多き若者たちが集まり、設立された。
以来50年間、如何なる資本系列・企業系列・学閥系列にも属さず、独立フリーの創造の場を維持し、いくらかの変遷、発展はあったが、組織を存続、活動を続けてきた。
設立以来、企業体・研究体・運動体の3つの異なる機能を持つ3つの体系のオーバラップとして、そのおのおのの目的に向かって活動してきた。時には、異なる立場の矛盾に苦しみながら、むしろその矛盾をバネとして、そこから独自の創造の方法論を組みたててきた。
また、パンデコンでは、外部でフリーに活躍する異なる専門領域をもつエキスパート(事務所・個人)とプロジェクトチームを組んで創造作業をなしてきた。これは、各自高いレベルで独立に活動する創造集団の発想・技術・研究を有機的にまとめる創造プロジェクトチームのシステムをつくることでもあった。
現在このプロジェクトチームシステムは、時と場合に応じて、自由に結合・増縮する開いた組織として、創造のネッワークは定着・発展しつつある。
今後、ますます、これまでに体験しなかった新しいタイプの創造集団・創造個人とジョイントして、新しい領域の仕事にチャレンジしたい。
今後とも、構成員個人は、自分のテーマ・研究を持ち、各自の個人として意識・体験・ノウハウ・知識をハイレベルに高めると同時に、それを集団・チーム・全体として結合・変換・統台する組織的知識創造システムを完成させたい。
パンデコンとは
パンデコンとは、汎のパン、デザインのデ、コンサルタントのコンを連ねた造語。建築設計・インテリア・都市計画の3部門からなり、独自のクリエイティブシステムによりオリジナルデザインを創造するクリエイター集団。
アイデア発想法―天地人
企画・構想・計画・設計をする時、「天・地・人」をよく識ることが必須である。
天地人とは、「天の機・地の利・人の和」を活かすことである。天と地の二極の間に人が入ることによって、「天・地・人」三者の微妙なバランスが成り立つ。天と地の間に入る人の役割を大切にしたい。天と地の間に人の在ることにより、創造がなされる。
[天の機] ことの成否は、天の機にかかっているといっても過言ではない。ある企画・設計をする時、その時代の求めているものは何かを良く識ることである。時代の流れに逆らってはいけない。創造者は、感覚を鋭敏に研ぎすまし、来るべき時代を予見しなければならない。人々が待ちのぞんているものは何か。これから先、何が注目されていくのか。この流れを読みきり、予見をもつことが、創造者の必須の条件である。
[地の利] 地の利を活かす。建築計画においては、地の利を活かすか否かが、計画の死命を制す。立地特性を徹底的に探り、その立地条件を活かし、立地にあったかたちに企画・設計を合わすことが必要である。現場へ何度も足を運ぶこと。朝・畳・夜。晴天・雨・曇。春・夏・秋・冬。これら異なる状況では、土地はその表情を大きく変える。建築は、大地に建つということを、根底から識ろう。大地と建築が一つに溶けあう、ランドスケープアーキテクチュアの視点をもっと持ちたいものである。
[人の和] 建築にとって、人の和ほど大切なものはないだろう。人の和のうまくいった建築は成功する。人の和とは、この建築に携わる人、この建築の輪に絡む人、この建築に関わりあう様々の人の特性を活かすことである。
発注者と建築家とは、信頼関係で結ばれなければならない。建築家は、発注者の代行業務を行うのであるが、さらに発注者そのものと―体―如の関係にならなければならない。さらに、施設なり、建築を直接利用する生活者の要求を識り、計画をそれに合わすことがより大切になる。利用者・生活者にかわって、そのニーズを代弁して、今、人々に求められている施設とは何かを、発注者に理解してもらうことが必要となる。